イギリスの鉄道【乗り方編】では、イギリスの一般的な特急列車の乗り方を基本にして説明していきます。
目次
駅と改札
はじめてイギリスの鉄道に乗車する場合、駅にはなるべく余裕を持って到着するといいでしょう。イギリスの場合、日本のように改札が設置されている駅はあまり多くありません。改札がなかったら、そのままプラットフォームに移動します。
なお最近は都市部の大きな駅を中心に「自動改札」のある駅が増えています。自動改札の場合は、日本の自動改札と同じような要領でゲートの入口にある機械にチケットを通し、出てきたチケットを受け取って通過します。
運行掲示板について
日本と同じように、多くの駅で運行掲示板が目立つ場所に設置されています。運行掲示板では列車の発車時刻、目的地、停車駅、プラットフォームの番号などを確認できます。列車が遅れている時はその旨が運行掲示板に表示される場合もありますが、何も表示されないこともあります。
プラットフォームへ
イギリスの場合、列車が発着するプラットフォームの位置(番号)は日本のように固定されていないことが多いです。発車する列車のプラットフォームの位置は、運行掲示板などで確認します。
なおプラットホームの位置は直前に変更されることがあります。音声アナウンスや最新の運行掲示板、または駅のインフォメーションで確認します。
また、プラットフォームに列車の発車時刻やプラットフォームの位置などを記した列車案内板が設置されている場合があります。最終的な確認として、列車案内版を利用することができます。
車両を探す
プラットフォームに着いたら、車両編成を一覧にした列車編成表などで列車の停車する位置を確認します。座席を予約している場合は、チケットに記載されている番号の車両を探します。なお駅によっては列車編成表がない場合もあります。
日本の駅とは違い、床に列車の停車位置を表示していない場合が多いです。列車が到着したら、車両ドア横にある号車番号などで乗車する車両を確認します。また日本の車両と違い、車両に目的地(行き先)などの表示はありません。列車のドアには自動ドアと手動ドアがあります。
車両の乗り間違いには注意しましょう。列車によっては途中駅で車両を二つに切り離し、別々の方向に向かう列車もあります。間違った車両に乗ってしまうと、目的地とは違う方向に行くことになってしまうので十分に注意しましょう。乗ってしまった後に車両間を移動したいと思っても、必ずしも端から端まで車内を移動できるとは限りません。
座席に座る
イギリスの列車は都市近郊列車や地下鉄などの一部を除き、任意予約制です。予約が入った座席のみ、指定席になるという仕組みです。日本のように、指定席と自由席の車両にきっちりと分かれているわけではありません。
予約が入っている座席の場合、座席の目立つところに指定席であることを示す紙(Reserved)が入っています。紙がない場合は自由席なので、空席なら自由に座ることができます。一部の列車では、網棚の下にある電光掲示板で席の指定状況が表示されます。
なお指定席であっても、紙に書いてある乗車区間と自分が乗車する区間と被っていなければ乗車可能です。もし指定席に乗車する人が乗ってきたら、そのタイミングで席を譲ります。もし座席を予約していても、自由席のほうがよければ移動することも可能です。
車内では検札が行わるので、チケットや鉄道パスは下車して駅を出るまで常に携帯し、車掌に提示を求められた場合に提示できるようにしておきます。
荷物の収納
コンパクトな荷物なら、座席上の網棚に荷物を置けます。スーツケースなどの大型の荷物の場合は、デッキ横に設けられた荷物置き場のスペースに収納します。ただし荷物置き場のスペースは限られているので、車内が混雑している時などは必ず置けるとは限りません。
置き引きを防ぐために、荷物置き場に置く荷物はチェーンキーなどで繋ぎ止めておくといいでしょう。また、ファスナー部分は南京錠などを利用して開けられないようにします。
車内設備と座席
National Railの場合、座席の種類は1等に相当するFirst Classと、2等に相当するStandard Class(2等)に分かれます。ローカル列車の場合、1等がない列車もあります。First Classの運賃はStandard Classの約2倍です。
First Class(1等)
通路を挟んで1×2列の座席があります。First ClassはStandard Classの約1.5倍の運賃になります。Standard Classより座席が大きく、足元にゆとりがあります。インターシティでは飲み物や軽食のサービスもあります。
Standard Class(2等)
通路を挟んで2×2列の座席があります。日本の特急列車の普通車とよく似ています。通勤向け列車や一部のローカル列車はStandard Classのみです。
自由席と指定席について
日本のように自由席と指定席の車両に分かれているわけではありません。座席の目立つところに指定席を示す紙が刺さっていたり、荷物棚の下にある電光掲示板で席の指定状況が表示されます。予約された区間でなければ誰が座っても構わないのですが、他人の指定席に勝手に座ると、罰金の対象になるので注意が必要です。もし他人が座っていたら、譲ってもらいます。
車内設備について
通勤向け列車や一部のローカル列車を除き、列車の車内には以下のような設備・サービスがあります。
- 飲み物・軽食の車内販売
- 空調
- トイレ
- 赤ちゃんのおむつ交換所
Quiet Coach
インターシティの一部には、Quiet Coach(静寂車両)と呼ばれる車両があります。Quiet Coachでは携帯電話や音楽プレーヤーの使用、会話や騒音などが禁止されています。イギリスでは基本的に車内でも携帯電話で話す人が多いです。静寂さを重視する人のため、Quiet Coachのような車両が設けられています。
列車を降りる
日本では一般的な「次は○○」のような、停車駅を告げるアナウンスは基本的にありません。時刻表や車窓の様子を手がかりにしたり、車掌や周りの人に聞くなどして、正しい駅で降りられるようにしましょう。
ドアは自動ドアよりも、手動で開けるタイプのドアが多いです。ボタンを押したり、レバーを回してドアを開けます。なお一部のローカル線では、車内側にボタンやレバーが付いていない列車があります。窓のドアを下げて、自分で手を回してレバーを回すという作業が必要です。
駅や車内での注意事項
1. 喫煙は禁止
車内、駅の構内での喫煙は禁止です。車内には煙を検知するアラームがついていて、もし喫煙が見つかると車内アテンダントが警察を手配します。次の駅で停車するとイギリス鉄道警察(British Transport Police)に引き渡されて逮捕されてしまいます。十分に注意しましょう。
2. 置き引きに注意
イギリスの犯罪率は比較的低いですが、駅や列車の中で置き引きのリスクはあります。荷物から目を離さないようにしましょう。駅に放置された荷物は爆発物とみなされる場合もあるので、荷物は放置しないようにしましょう。
3. 車内精算はできない
日本の鉄道とは違い、イギリスの鉄道では基本的に運賃の車内精算ができません。目的地までの正規のチケットを持っていないと、検札の際に不正乗車として高額な罰金を支払うことになりかねません。乗車する前に、目的地までの正しいチケットを持っているかどうか確認しておきましょう。また、列車の乗り間違えにも注意しましょう。
4. ホームと列車の間の隙間に注意
イギリスではホームと列車の間の隙間が離れていることが多いので、乗車する際に注意しましょう。また、ホームと列車の床の高低差が大きく、階段を登るようになっている列車もあります。